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約束の和菓子『西ゆうじ先生の思い出』


まんが原作者の西ゆうじさんが胃がんの為、去る2013年2月6日に逝去されました。 1953年生まれ、享年59歳でした。
漫画原作を手がけ、「あんどーなつ 江戸和菓子職人物語」をビックコミックオリジナル(小学館)に連載中でした。 そんな西さんと喜津禰店主とのエピソードをご紹介いたします。


© 西ゆうじ/テリー山本・小学館

西さんとの出会い

当店には、お年寄りから小さなお子様まで、男女問わず幅広い年代の方々がお見えになり、季節のお菓子やお茶菓子をご購入されていきます。そして多くのお客様と、ご購入の目的などをお聞きしてお菓子をご紹介したり、お客様の一生に触れ、喜びや悲しみを分かち合っています。それは、和菓子の専門店だからできる事だと思っており、また当店に来てくれるお客様は、本当に和菓子好きな人が多いと感じています。

そんな和菓子好きのお客様の中で、私が忘れられない方がいました。
それが「あんどーなつ 江戸和菓子職人物語」の作者である西ゆうじ先生です。
初めてご来店された時は、あまりにもお菓子作りの工程に対して専門的な質問をされたので「同業者の方ですか?」と思わず聞いてしまったくらい。とにかく和菓子が好きで、話は尽きることなく店頭で長話を・・・それが西先生との出会いでした。
後日、直筆サイン入りの文庫本をいただき、またお菓子についていろいろな話を・・・ 和菓子の話の他にも「物書きとはこんな仕事だ」とか、取材の時の話とか、カメラの話とか、西先生が来るといつも小一時間くらいは話が弾みました。


コラボレーション

そんなある時、先生が幼少の頃におやつ代わりに酒カスを薄く平らに伸ばしたものを火であぶり黒蜜をかけて食べた思い出があるとの事で、「そんな素朴な味をテーマに和菓子屋と作家のコラボで新商品を創ってみないか」と先生から提案され、私の心は弾みました。

しかし、それからすぐに先生は体調を崩され、半年後の2月6日(折しも2月6日はわたしの誕生日)に、奥様からお通夜の案内を受ける事となりました。そして病院のベッドの中でも、先生が私とのコラボの話をしていたという事を伺うという、私にとって忘れられない日になりました。

先生との「約束の和菓子」はまだ完成しておりませんが、ここに改めて喜津禰のお菓子を愛していただいた西先生に哀悼の意を捧げ、近いうちに二人で創りたかった約束の和菓子を完成させたいと思っています。(2015年3月)

【2015年12月 追記】
西先生がお亡くなりになってから長い年月が経ちました。先日、漸く御仏前に約束の菓子を御供えすることができました。奥様やお客様からの御要望もあり本当は西先生と私だけの楽しみの菓子造りのはずでしたが、この度、限定の商品として販売するにいたりました。

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